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[おはよう、今日も一日頑張ろうね]
[おやすみ、また明日学校でね]
毎日交わすありきたりなメールが
あなたとの唯一の繋がり。
[ドンマイでした。次はガンバです]
私が試合に負けた日には、そんなメールをあなたからくれたりもしたよね。
[あー、理科の授業退屈だぁー]
たまにふざけてした授業中のメール。
[ヤバイですって]
あなたの焦った感じの返信に、思わず微笑んでしまう。
ごめんね。
こんな事で、あなたを身近に感じ様としたりして。
でも、こんな事でしかあなたを身近に感じられない現実がある。
夏の花火大会。
人混みの中、手を繋ぎたくて、わざとらしいくらいに何度もあなたの手に触れた。
けど、最後まで繋がれる事はなかったね。
あなたはきっとその時確信したんだと思う。
埋まらない二人の関係を。
自分の守りたいべき人が誰なのかを。
別れはすぐにやって来た。
「柳川先輩の事は今でも好きだけど、
何かが違うって思えて……
このままでいいのかなって思えて……」
------ 今でも好きだけど、
そんな言葉、付け加えないでよ。
そんな言葉、いらないよ。
哀しさが増すだけだから。
別れを受け入れられなくなるだけだから。
「結論を出すのは、今じゃなきゃダメかな?【好き】が本当なら、私が卒業するまで、このままじゃダメかな?」
私の最後の悪あがき。
もう終わりはとうに見えてるのにね。
「いいですよ」
それでもあなたは、迷いながらもコクリと頷き微笑んでくれた。
夏の大会を最後に私も部活を引退。
市内ベスト4に輝いた私に、海斗がメッセージ入りのテニスボールをくれた。
【栄光に幸あれ】
メッセージと共に海斗は言葉を付け加えた。
「テニスをしている時の柳川先輩が、
一番輝いていて好きです。」
分かってないなぁ。
私が輝けるのは、
海斗がいるからだよ。
もうこれ以上、好きにならせないでよ。
正直、苦しいよ。
こんなにもあなたを好きになってしまった事がね。
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