14人が本棚に入れています
本棚に追加
「柳川先輩っ!?」
海斗は私に気づくと驚きの表情を見せた。
土曜日、私は部活に行く途中の海斗を待ち伏せていた。
------ 柳川の事が関係してるかどうかは分からないけど、海斗、志野高受験迷ってるみたいだぞ。
飯塚が昨日の話しの中で言っていた。
加賀中テニス部顧問の竹田先生から聞いたらしい。
確かめずにはいられなかった。
直接会って、海斗の口から聞きたかった。
ただ逢いたかった訳じゃない。
だけど、
逢えたらやっぱり嬉しい。
なんてね。
もう終わりって決めたばかりなのにね。
そんな後ろめたさを心に引きずりながらも、私は海斗の前に一歩歩み出た。
「おはよう」
「どうしたんですか?」
「取りあえず歩きながら話そ。
部活、遅れちゃうでしょ?」
横に並んで歩き出すと、歩きながら海斗の視線を何度か感じた。
「何?」
私の投げ掛けに、海斗は『アッ』っと慌てた。
「何よ?」
「いやっ、化粧してるの見るの初めてだったから」
中学時代にはしなかった化粧を、今日はうっすらとしてみた。
高校生になってからは、女友達と出掛ける時にはしたりもしてたけど、海斗の前では初めてだった。
「見とれちゃう?」
「からかわないで下さいよ」
私の意地悪な冗談に、海斗が困った様に照れる。
「私だってもう高校生だからね。
これくらいのオシャレはしますよ」
そう言ってクスッと笑う私につられて、海斗も笑った。
気持ちが少しほぐれたところで本題。
「志野高、迷ってるって……本当?」
海斗が答えにくそうに口ごもる。
本当、なんだね。
それってやっぱり、
「私の、せい?」
最初のコメントを投稿しよう!