繍眼鳥

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(明日の朝にでも、外へ放そう) その時、窓の外に、馬を歩ませこちらに向かってくる男たちの姿が見えた。 (周瑜様) 小喬はメジロをそっと両の手で包むと、籠の中に入れ、面に出た。 中庭で、周瑜が兵たちと荷を整理していた。 そよそよと心地よい風が周瑜の髪と袍をなびかせている。 周瑜は、少し痩せていた。 船上生活で、身体のみならず精神も研ぎ澄まされてきたのだろう。 顔つきに、精悍さが増していた。周瑜のことを女性的だという人々もいるが、小喬からすれば、どう見ても男の顔である。 小喬は、また見とれてしまう。 周瑜が小喬に気がついた。 『ただいま、小喬』 そして、やわらかな笑顔を見せた。 その日の夜は、家の使用人たち含め、皆で食事を取った。 周瑜がふと箸をとめた。 小喬はそんな周瑜に気がついた。 (公瑾様、何か聴こえているのかしら…) すると間もなく、玄関の扉をどんどんと叩く音がした。 『周瑜様!周瑜様!!』 使用人のうちの楊白が席を立ち、玄関へ向かっていった。 周瑜も立ち上がって、出て行った。小喬も気になりついて行った。
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