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小喬も、まもなく意識がふわふわとしてきたので、寝台に腰を掛けた。
気がつけば横たわってしまっていた。
今夜は、久しぶりに周瑜と過ごせることに対し、期待していなかったと言えば嘘になる。
正直、周瑜に包まれて眠りたかった。
周瑜は疲れている、とわかってはいても。
しかし、小喬はすぐさまその気持ちを打ち消した。
他の女たちのことを思えば、そんな淡い思いは罪である。
小喬の瞳は閉じられていた。
身体がふわりと軽くなり、闇が、広がってくる。
月の光のように澄む、周瑜の笛の音が聴こえたような気がした。
意識が深い闇の底に漂っている時、かたりと音がした。
小喬が目を開けると、天井は夜明けの光で青白く染まっていた。
音がしたほうに身体を倒すと、そこに扉を閉めかけている周瑜の姿が見えた。
『小喬、起こしてしまったか』
小喬は身を起こす。
『いいえ…、おかえりなさいませ。それで事はおさまったのですか?』
周瑜は寝台に歩み寄ると腰を掛けた。そして口に手をあて、ひとつ欠伸をする。
『ああ、問題ない』
その表情には、あきらかに疲労の色が滲んでいた。
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