繍眼鳥

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その時、メジロがぱたぱたと羽を鳴らした。 周瑜はふっとほほえむ。 『なんだ、まだ放していなかったのか』 『ごめんなさい。つい名残おしくて…。今日、放します』 『いや、飼おうか。小喬』 『えっ…』 『私も留守が多いから、きみもさみしい思いをしているだろう』 その時、メジロは飛び上がり、籠を突つきはじめた。 小喬は寝台から出ると、窓辺に向かった。 鳥かごを開いてやると、メジロがふわりと舞いあがる。そして、小喬の肩に止まった。 『公瑾様、私のさみしさに、メジロを付き合わせるわけにはいきません』 小喬ははっとして、口を手で押さえる。 周瑜が気にすることを、また呟いてしまった。 周瑜は立ち上がると小喬の正面に立った。 メジロは周瑜を見つめてまた羽を鳴らす。 周瑜が人差し指を差し出すと、メジロは飛び移った。 小喬が見上げると、やわらかな朝日が周瑜の顔を照らしていた。 おだやかな笑顔で指先のメジロを見つめている。 『公瑾様、メジロを手放す代わりに、一度だけ素直な気持ちを伝えさせてください』 小喬はつぶやいていた。 周瑜は、はっと小喬の瞳を見つめる。 『私は、心より公瑾様をお慕いしております。私を見初めてくださったのが、あなたでよかったと本当に思います』
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