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メジロは周瑜の肩を離れ、窓の桟に飛び移った。小喬は続ける。
『これからも、私のそばにいてください。必ず帰ってきてください。一人にしないでください。ほかにはなにも望みませんから』
小喬は周瑜の身体に身を寄せた。
瞳には涙がつたっていた。
周瑜は慌てて小喬の背に腕をまわす。
『あたりまえだ、小喬。さみしい思いはさせるかもしれないが、必ず、帰ってくる』
小喬は、その胸に深く顔をうずめた。
その日、太陽が真上に昇った時、二人でメジロを外に放した。
青い空に、黄緑色の身体が鮮やかに映えていた。
メジロはしばらく館の庭の木の枝を、右に左に飛び移って遊んでいたが、まもなく姿が見えなくなった。
時折、周瑜は庭で耳をすませている。
小喬は、周瑜にはメジロのさえずりが聴こえているのかもしれないと思った。
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