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小喬もその場で息を潜める。しかし、小喬には何も聞こえない。
まもなく周瑜は、植え込みのほうへ歩み寄ると腰を降ろした。
小喬も足音を立てないようにして後をついていく。
すると、植え込みの枝に、小さな鳥の雛が絡まっていた。
時々羽根ぱさぱさと鳴らし、ぴいぴいと小さく鳴いている。
まあ…、と小喬は驚きの声をあげた。
周瑜は雛を絡まりからはずすと、縁石の上に置いた。
親鳥が迎えに来るだろうと、二人でしばらく待ってみることにした。
しかし陽が暮れても親鳥は来なかった。
そのままにして、何かの獣に食べられてしまっては不憫だと、やむをえず館に入れた。
何を与えたらよいのかと、夫の周瑜に尋ねたら、幼虫や果実の絞り汁を食べると言うので、小喬は毎日、市で売っていた果実をすりつぶしては、汁を布に含ませ、滴を雛のくちばしに落としてやった。
虫はさすがに捕まえることはできず、木の葉を這う虫の前で、神妙な顔をしていたら、周瑜がひょいと捕えて、ぽいと雛に与えてしまった。
周瑜が留守の時は、館の使用人たちが虫を拾っては雛の口に運んだ。
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