繍眼鳥

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玄関を出ると、簡素な袍の姿の青年と幼い娘が立っていた。はあはあと肩で息をしている。 小橋は、周瑜の一歩後ろから様子を見た。 夜空は雲ひとつない満月で、訪問者たちを十分に照らしていた。 (なんとなく、似ている…。兄弟かしら) 楊白が、ずいと前に出た。 『こんな時間に何の用ですか。まして、ここは周瑜様の館と知ってのことのようですが』 青年は慌てて平伏した。地面に頭が擦りつけられる。 『存じております、われわれのような者が気安く来てはならないことも心得ております…』 周瑜は片膝をついて身をかがめ、穏やかな声で言った。 『話を聞かせていただけますか』 青年ははっと顔を上げる。 『周瑜様、私は李礼と申します。実は私どもの母親が、今現在、村の家や店を荒らして回っているのです』 周瑜と楊白は目を丸くした。 『荒らしている?』 『はい。先日、流行病で他の妹や弟たちがみな命を落としてしまったのです。 それからしばらくは魂が抜け出たように呆けていたのですが、先ほど急に泣き叫びながら暴れ始めたのでございます』 小喬は瞳を伏せた。 『なんていうこと…』
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