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「なぁ。」
「なーにー?」
蝉の声が通り過ぎていく。
「お前、彼氏できた?」
「ううん。そっちは?」
「いない。」と、ぶっきらぼうに言う幼馴染はそのまま何か考え込むように、黙ってしまう。
「このまま高校生活終わるって、寂しいなあ。」
わざと笑って見せる。
期待しちゃダメ。
分かってる。
「お前さぁ、俺と……。」
自転車を止めて振り返る、あいつの顔も赤くて。
交わる視線は真剣で。
熱くなる頬は夏のせい。
蝉の声がうるさいくらいに響いてる。
高校最後の夏休みの出来事。
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