ガクイン

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俺は齋藤先生に連れられ、ある教室にやって来た。 俺は成績不振のことで話があるのかな、と思った。 「尾畑、お前最近魔力に異変は無いか?」 はぁ?何を言ってるんだろう? 「いえ、特には………」 先生は安堵したように 「そうか、良かった。」 訳が分からない。 俺の魔力が何だと言うのだ。 「あの、どういうことですか? 説明してください。」 先生はちょっと考え込んで 「いいだろう、教えてやる。 お前、自分の魔力が他人より少ないって思ってるだろう?」 「そ、そんなの当たり前じゃないですか!! 成績を見れば分かるでしょ。」 先生はクスクス笑った。 何が可笑しいんだろう? 「ちょっ、笑わないで下さい。 気にしてるんですから。」 「いや、悪い。」 「尾畑、お前は何故留年しなかったと思う? 何故、高里がお前を守ろうとしたんだと思う? 何故、他人に比べ圧倒的に魔力が少ないと思う?」 高里が、俺を守ってる? 「あの、もったいぶらないで教えて下さい。」 「何か答えるんだ。 間違ってると思ってもいいから、どう思うんだ?」 「そんなの知りませんよ。」 「そうか……… だったら答えはお預けだ。」 「えぇ!!何でですか?」 「ホームルームの時、言っただろ? 立派な人間であること、と。 質問に対し、自分の考えを示せないようじゃあダメだな、まだ。 何か思いついたら俺の所に来い。 どんな考えであれ、お前が一生懸命考え出したと分かれば、お前に真実を教えてやる。」 そう言って、先生は退室した。 なんなんだよ、真実って………
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