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ピピッ。シグナル、赤。
腕に付けられたリストバンド。 これは特殊だ。
今自分の心の状態、考えなど、他人には決して分からない想い、自分自身ですら知らない自分の思考を話す。
その声は誰にも届かない、誰も聞こえない。誰も知らない。
ただ僕だけが、僕の頭の中にだけ流れる声。
ちょうど信号が変わる。
今まで足を止め、僕と肩を並べていた人達が一勢(いっせい)に歩き始める。
その流れに乗るように、僕も一歩を踏み出す。その瞬間、声が聞こえた。
ピピッ。動くな。さがれ、早く。
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