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「分からない。本当に分からない……」 私が今居るのは3階らしい。階段を上がった時に書いてあった……はず。 目の前には音楽室。 でも扉は閉まっているし、もちろん人は居ない。 もう本当にどうしようもなくて、情けないやら悲しいやらで、涙が溢れそうになった時。 「――――…だ」 本当に微かだけど、私の耳に届いた声。 どうやらこの階のどこかに人が居るみたい。 もしかしたら空耳かも知れない。 人なんて居ないかも知れない。 でも、空耳だとしても、それに縋るしかないダメな私。 どうか優しい人でありますように。 そんな事を思いながら、私は声のした方へ歩きだした。
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