第1話 南西の死神

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【中央区域 広場】  広場というよりは、ドームと言うべきだろう。  円を書くように並べられたプラスチック製のイスが大量に設置された、まるでコロッセオのような作りの建造物が、広場と呼ばれた場所である。  その中央部には舞台のように一段高くなった場所があり、そこに背広姿の男性が数人と、護衛らしき軍服姿の兵隊が十数人立っている。 『えー諸君、ここは世界平和のための施設レベル7である。ここに集まってもらった2万3047人の生徒は、いがみ合い、殺しあうようにと教えられた哀れな生徒も多いだろう。中にはつい先日まで憎い敵であった者たちもいるかもしれない。だが、世界は変わった。これからは世界平和のために諸君らの偉大なる能力を発揮してほしい』  その中で、副校長となのる長身で細身の中年男性が壇上でマイクを握り、進行係を勤めている。 『この新しき秩序、世界平和を守るためには諸君らの貢献と、新世代のための安心できる土壌が必要である。われわれは過去の過ちから学び、成長できる生き物である。そのために諸君らはここに集められている。そのための施設である!』  高らかに声を張る副校長は満足げな表情を浮かべ、それは巨大で空中に漂うモニターに映し出される。 「なにが、世界平和だ!俺たちはココに来る前にライフルで脅されてるぞ!」  喧騒の中から一つの声が張りあがる。   
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