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「1日目、D班の生徒前。これから競技場に入りますので、準備してください」
係りの先生が指示を出し、それに続いて10人ほどの生徒がゾロゾロと立ち上がる。
待機室の扉から出て行った先生に従って、彼ら全員はこれから行われる実技テストを受けに入った。
「おい、アセビ。お前もだろ?早く行けよ」
「悪い、ボーっとしてた」
俺も立ち上がって遅れながら後に続く。
扉を抜けると殺風景で長い廊下が続き、前を歩く生徒にはすぐに追いついた。
「アセビ、これから何やるんだろうな」
そんなこと聞かれてもわからないが、口調にはどこか怯えた響きを感じる。
「さーな。でも、死んだりすることはないだろう。一応、世界平和を掲げた組織のテストだしな」
そう言えばきっと安心するだろうと思って言ったら、案の定だった。
ここ1週間で教えられた他人への思いやりとは、こういうものだろう。
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