第1話 南西の死神

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「それで、その後は想像通りか?」 「そうだ。これが俺の知ってる、”南西の死神”の話のほんの一部だよ」  数人の男子生徒が群がる教室内で、1人の少年が饒舌に語り、その様子を取り巻き含む、教室の面々が聞き耳をたてる。 「私も知ってる、南部前線で一個中隊の補助探知員してたときに聞いた」  少しはなれたところから少女が声を張ると、その方向に興味の視線が移る。 「南西部で発見されたオリジナルのオルレアって女の子が死神の正体で、拾った隊は一時的にすさまじい戦果を出すんだけど、すぐに大量の敵に集中砲火を受けて、生き残ってるのは毎回その子だけなんだよね」 「おっかない話だな。俺がいた極東はレプリカルの性能が高かったから、オリジナルの存在意義ってそんなに高くなかったから」  男子生徒の誰かがため息のように声を発する。と、同時にざわめきが波紋のように広がり、室内は騒然とし始める。 「極東に派遣された時はイヤだったな。3週間契約で攻略部隊として派遣されてたけど、すぐに戦争終結したから戦わずに済んだんだ」 「あれだろ、アジア圏の異能者孤児は反対のB区域で生活してんだろ?その死神は南西だから、F区域か」  
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