白狼の巻

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話していたら、こちらに向ってくる足音がした。 (コツ、コツ) 「あの足音は、ここの村の女の子だよ」 リュウは初めて牢に入れられた事に気が付く。 「君は?」 牢の前に、少女が立っていた。手にはコップを持っていて、中に水が入っていた。 「水か! 水ならくれ」 少女は牢の近くに、そのコップを置いた。 「ありがとう。君の名は?」 「・・・・」 「その少女は目の前で村人や親を殺されて、恐怖のあまりに声を出せなくなったらしいよ」 「なら、俺の拳で治癒させれる」 「本当か!!」 リュウは、再び少女の方に向き、治療の事を説明した 「少しだけ、指をあてるだけだから痛くない」 少女は頷いた。 「声を出せるようにするには、ここだ」 少女の後頭部らへんに、軽く指を当てた。 「もう君は話せるよ。後は自分しだいだ」
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