からだ探し

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店の裏に異動すると、 スクラップが山積みになってる。 もうすぐ業者が引き取りに来るとオーナーから聞いていた。 早めにかたずけよう。 スクラップの山には、旧型の物、最新だが手足の無いもの 様々だ。 ペットと言っても所詮は機械。扱われ方が乱暴だ。 「ゼウス、どれにする?あまり古い奴は性能が良くないぞ?」 [性能か、問題ない。手頃な物で自分で造る。] 「造るって、体を?」 [それ以外に何かあるか?君は、いちいち質問するんだな。] 「悪かったな。」 [袖をまくって左腕を出してくれ。] 言われた通りにする。 左腕の傷のあった部分には手形の塊がある。 塊はバチバチと火花を出しながら色と形を変えて腕から離れ、スクラップの山の中に入って行く。 「傷が治ってる。」 少し驚いた。 けっこうな傷だった筈なのに、傷痕もない。 ガタガタとスクラップの中から音がして電気が走る 壊れたアニマルたちが、何もしていないのに次々と解体され、部品だけになっていく。 ビリビリビリビリビリ! 腕から離れた塊がばらされた部品の上に浮かぶと、部品たちが塊に引き寄せられてゆく。
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