偏見

4/22
前へ
/179ページ
次へ
 マンションの前でうずくまっている佳代。私はすぐに駆けつけて優しく言った。 「よく頑張ったね。もう大丈夫だよ」つらそうにその場で泣く佳代。私は優しく背中をとんとんした。 数時間して佳代がだいぶ落ち着いてきた。 「もしよかったら話してくれない?話したいことあるんじゃないのかな」佳代はぼそっとだけど話してくれた。 「うん。一樹に振られて...」 「どうして?あんなに仲が良かったのに」 「分からない。もうお前のわがままに付き合いきれないって。志乃にも嫌われるし。もうすべて失ったほうが楽なのかなって」私は優しく微笑んだ。 「そんなことないよ。未来のことなんて誰にも分からない。今あるものを大切にしないとね」佳代もこくりとうなずいた。  それからたくさんの愚痴を聞いて、顔色も戻っていった。安心した私はその場を離れることに。これがさらに面倒なことになるとは誰にも知らなかった。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加