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あ。 グラウンドの及川君がこちらを向く。 そして軽く手を上げてふっと笑った。 「おーおー、相変わらず弥生しか見えてませんな。及川氏。」 半ば呆れ顔の百合にへへへっと笑って私も小さく手を振り返す。 「あ、柏木くん。」 及川君の横に走ってきた柏木君がこちらに気付き、ピョンピョン跳ねながらこちらに両腕をぶんぶん振っている。 「…恥ずかしいんですけど。」 「あ、怒られた。」 歩!!と監督の怒鳴り声にビクッとして柏木君が急いで走り出す。 はぁ。っとおでこに手を付いて思いっきりため息を付く百合を見て私はクスクスと笑った。
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