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「あれでキャプテンなんてちゃんと出来てるのかな。歩。」 「柏木君なら大丈夫だよ。あー見えて周りちゃんと見て考えられる人だもん。」 だといいけど。そう言って百合がふっと笑った。 春の風がふわっとカーテンを宙に浮かせる。 私は顔だけくるっと振り返った。 誰もいない教室。 『知ってるよ。岡本の秘密。』 1年前、 全てがここから始まった。 あの時の事が、ついこの間の様に感じる。 私の運命が変わったあの春。 ピー… 試合終了のホイッスルが聞こえ、グラウンドへ顔を戻す。 この教室とも今日でお別れ。 私達は高校生活最後の1年を迎えようとしていた。
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