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「…ほんと、先走り過ぎだって、自分でも思うけど。
…でも、やっぱり……」
「……うん」
絞り出すように、苦しそうに話す声に、切なくなった。
「大丈夫、分かったから」
だから、少しでも安心してもらいたくて、私は笑ってみせた。
泣いちゃいけない。
「貴士くんが、一生懸命考えてくれて、出した答えだから、もういいよ。
…それで、じゅうぶん、嬉しいから」
それは、本当。
手が届かないと思っていた人が、こんなにも私のことで悩んでくれた。
結婚したいと考えている私を思って、自分の今の状況を重ねて、真剣に、これからのことまで考えてくれた。
その優しさが、本当に嬉しくて、…胸が、痛くて。
「だから……ありがとう」
それ以上、何も言えなかった。
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