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深夜二時。今日も闇に包まれてる。神様は何故毎日深夜を闇に包みこむのか。こんなワンパターンの世界に飽きないのか私は疑問に思う。
誰もいない深夜の音楽室。いつも通り窓側にあるピアノの椅子に私は座る。そしてピアノの弦に触れ、曲を弾く。これが私の深夜二時の日課だ。神様は飽きないらしいが私は飽きた。
その曲はイ短調から始まった。どんよりとした音程、ゆっくりと進むリズム、曲が進む度どんどん強くなる抑揚。さらには時よりある不協和音。
交響曲第6番。「悲劇的」だ。
私はこの曲を何故か知っている。そしてこの曲には私と共感できる何かがあるらしい。何より
この曲はハッピーエンドで終わらない。
と私はピアノを弾くのを止め、廊下側のドアへと向かう。そして私はドアに耳を傾けた。
自慢ではないが私がこんな体になってから耳聡くなった気がする。
あの時まで全く気にならなかった風の音でさえ繊細に聞こえる。というよりうるさいぐらいだ。
奥の方から人間の声が聞こえる。女性の高い声だ。声からして学生。しかも二人。
この時間に学生がいるなんておかしい。警備の人は何やってるの?
と思ったけど警備員がこの部屋付近にこないのは私のせいか。
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