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ばたばた、走る。
《走る》、なんてこと、はじめてしたなぁ。
道を抜けた時、僕は二人を見つけた。
二人は仲良く手を繋ぎながら僕の目の前を歩いていた。
───上から鉄柱が落ちてくることも知らずに。
…いや、知っていたのかもしれない。
「………危ないっ!」
鉄柱が工事をしている人の手から滑り、ヒビヤに向かって落ちてくる。
女の子は助けようとして、ヒビヤを押そうとしたが、押し返されてしまった。
僕は声を上げ、手を伸ばし、ヒビヤを押そうとした。
けれども………
──幽霊みたいに、透けて、陽炎みたいに揺れる、こんな身体じゃ押せるわけもなくて────
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