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「これは、彼の昔の話で────────」
そこからは、科学者はぺらぺらと何かを喋りだした。
僕は適当な相槌をしながら、右から左へとその話を流していった。
ちらり、とホルマリン漬けにされている女の子の方をみる。
この子も実験されたんだっけ。
確か、『世界滅亡から、逃げきれられるか。』
まぁ、結果はご覧の通り。
一応逃げ切られた…ってところかな。
その代わり、彼女は何かを感付いちゃったみたいだけど。
あーぁもう、こんな解りやすすぎる実験なんか、予想がついた時点で諦めたらいいのに。
科学者も馬鹿だなぁ。
「────それで、彼女は涙を流して呟いたんだ。『また、会いたい』…………ってコノハ、聞いてるか?」
「…聞いてるよ。」
ほんとは聞いてないけどね。
だってどうでもいいし。
「…コノハにはやってもらいたい事がある。」
「………何?」
面倒だなぁ。
「また実験をしているんだが、終わりそうにない。そこで、コノハにこの実験を終わらして欲しい。」
実験……あぁ、あの、『二人で生き残れるか』ってやつの。
「………わかったよ。」
しぶしぶ了解する。
「おぉ、そうか!了解してくれるか!」
科学者はさも嬉しそうに笑うが、やらなかったらやらなかったで何かを使って脅してでもやらせるつもりでしょ。
「なら、ここの公園に行ってくれ。時間は12時半あたりだ。」
地図を貰う。
うっわあ、超面倒。
「はいはい。」
そう適当な返事をして、湿っぽく、暗い研究室を後にした。
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