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「やめてくれっ…!お願いだ…!」
闇夜に響く声。
今俺の目の前には助けを哀願する男がいる。
腰が抜けてんのか。
しりもちをついてあとずさっている。
「……。」
「なぁ…お願いだから!…」
うわ…すごい形相。
…そっちからおそってきたのに。
助けてくれ。だって。
…どうしよ。
「悪かった!こっちが悪かったから!!お願…」
………まぁいっか。
斬っちゃお。
──ガコッ!!
「…い………え?……なっ…!」
「……ごめん、斬っちゃったから助けるの無理っぽい。」
ドサッ
男は倒れた。
俺は持っていた刀を鞘に収める。
「ったく。木刀だっていうのにびびり過ぎだって…」
ぶつぶつ独り言をいいながら、装束や顔についた血を袖で拭く。
そう。俺が今男を斬ったのは木刀。
だから正確にはたたいた。かな。
でもなんであんなにびびってたんだ?木刀ごときで。
あ。暗かったから木刀だって分かんなかったのか。
納得。
ん…なんか若干顔が痛い。
顔をさわると…
「血…。」
額から流血しているようだ。
さっきかすったナイフのせいか。
生々しい血の他に所々乾いた血もついている。
これ何週間前の血だろ?
乾きすぎてとれなくなっちゃったじゃん。
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