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俺の名前は、青木巧実(あおき たくみ)。取り柄という取り柄はなく、普通の男子高校生だ。
そう、"男子高校生"なのだ! 受験に見事合格した俺は、晴れて高校生になった。これから、入学式に向かうところだ。
「巧実、朝はお母さんと一緒に行く?」
今は朝飯を食べているのだが、目の前に座っている母さんが、話しかけてきた。…ここは、反抗期ぶって断るのがいいのか?
「馬鹿野郎! 行くわけない…」
「……ぐすん。一緒に、行ってくれないの?」
顔の前で手を合わせ、上目遣いで俺を見つめてくる母さん。そこら辺のババアがやったら吐き気を催す仕草でも、うちの母さんがやると威力が違う。
40歳とは思えない童顔で、声も可愛らしい。体つきも良く、一言で言うなら美人だ。
だが、俺は反抗期の高校生を演じているのだ! こんな誘惑には屈しな…!
「…だめ?」
「分かった、一緒に行こう」
「本当!? やった!」
反抗期なんて知ったことか。そんなものは必要ない。母さんが嬉しそうならそれでいい。
というわけで、俺は母さんと一緒に、入学式に行くことにした。
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