16人が本棚に入れています
本棚に追加
「巧実とこうやって歩くのも久しぶりねー」
「そうか?」
俺たちはいま、桜の咲く坂道を登っていた。家から学校までは、徒歩10分で着く。この坂を登れば、もう学校が見えてくる。
「巧実も、ついに高校生かぁ。早いもんよね」
「ああ。そうだ…な?」
俺は目を疑った。
桜の木に、パンツ一丁でぶら下がっている男がいたからだ。
「今日もいい天気だ! パンツが疼くぜぇぇ!」
しかも、わけのわからない奇声を発している。あれは危険だ。どう考えても変態だ。角刈りだし。
「母さん、少し走ろう」
「え? ちょっと、巧実!?」
俺は、母さんの手を引いて走り出した。あんなものを母さんに見せてはいけない! 絶対に!
最初のコメントを投稿しよう!