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心臓が止まるかと思った。
今、目の前の出来事が頭の中で整理できなくて、呼吸さえも忘れる。
「……」
「……」
「……っ」
ハッと我に返って小さく息を吸った瞬間、自分の置かれた状況に気付いて。
入り口のドアを塞いでいた身体を慌てて退かした。
上杉ヒカルは俺と目を合わせる事もなく、俯いたまま小さく会釈らしきものをして俺の横をすりぬける。
パタパタと上履きを鳴らして足早に教室を出ていく様子を背中に感じて。
その気配が完全に消えた事を確認して、はぁ、と大きく溜め息を漏らした。
一気に押し寄せる倦怠感。
教室内の誰かに見られるのが怖くて、徐に顔を伏せた。
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