アオイハル

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「女の子か……」 またパッと窓際にしゃがみ込んで、ずるずると背中を壁にもたげた。 あんなマニアックな漫画を読むなんて言うから、てっきり男だと思っていたのに。 クラブの時間だろうと何だろうと、窓から強引に「村上の漫画貸して」とでも言わせてもらおうなんて考えていたのに……。 正直、女の子は面倒くさい。 廊下で擦れ違っては『キャー♪』 教室に覗きに来ては『キャー♪』 当たり屋的にボディタッチをして来ては『キャー♪』 意味が分からない。 誰も本当の“武田ハルト”なんて知らないクセに、わざと置いてる距離を強引に踏み入ろうとして来る。 そんな女子達は苦手な生き物でしかなかった。 でも……わざわざあんな漫画借りるくらいだから、村上狙いの子なのかな。 興味本意は何への興味なのか。 ただ単に暇潰しがしたかったのか。 昼寝を阻害されたイライラをぶつけたかっただけなのか。 自分の考えも纏まらないままに、もう一度教室の中を覗き込んだ。
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