2500人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あっ…!」
教室を覗き込んだ瞬間、思わず自分の口から漏れた声にビックリして、またバッと窓際の壁に身を隠した。
「えっ……?何?なに?」
窓の向こうから、聞き覚えのある澄んだ声が聞こえてくる。
俺の座席に座ったまま、キョロキョロと辺りを窺っている様子が目に浮かんで
窓の外の俺の存在には気付いてないんだろう、後ろの席に座る男子に「なんだよー、騒ぐなよ、ばーか」なんて暴言を吐かれているのが俺の耳にも届いた。
……間違いない。
あの声。
あの後ろ姿。
いつもバスケ部の練習が終わった後で一人居残り練習をして、ステージの上で足をブラブラさせながらメロンパンを頬張る彼女。
上杉ヒカルに間違いない。
そう確信した瞬間、どうしてだか急に左胸がズキンと痛んで、カァッと顔が熱くなった。
最初のコメントを投稿しよう!