アオイハル

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「……あっ…!」 教室を覗き込んだ瞬間、思わず自分の口から漏れた声にビックリして、またバッと窓際の壁に身を隠した。 「えっ……?何?なに?」 窓の向こうから、聞き覚えのある澄んだ声が聞こえてくる。 俺の座席に座ったまま、キョロキョロと辺りを窺っている様子が目に浮かんで 窓の外の俺の存在には気付いてないんだろう、後ろの席に座る男子に「なんだよー、騒ぐなよ、ばーか」なんて暴言を吐かれているのが俺の耳にも届いた。 ……間違いない。 あの声。 あの後ろ姿。 いつもバスケ部の練習が終わった後で一人居残り練習をして、ステージの上で足をブラブラさせながらメロンパンを頬張る彼女。 上杉ヒカルに間違いない。 そう確信した瞬間、どうしてだか急に左胸がズキンと痛んで、カァッと顔が熱くなった。
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