アオイハル

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何これ? 女子かよっ! 心の中で下らない突っ込みをしながらも心臓は煩いほどに騒ぎ立てて、専ら持て余す。 窓際にしゃがんだまま自分でも理解不能な溜め息を吐いた。 ……見なかった事にしよう。 クラブの時間をサボってこんな所で何をしているのか。 途端に自分が悪い事でもしている気分に駆り立てられて、慌ててその場を後にした。 廊下を早足で駆け抜けて、階段の踊り場でようやく足を止める。 乱れた息を整えようにも 心臓が煩い、煩い、煩い。 ……一度も話した事なんか、ない。 多分彼女は俺の存在すら知らないだろう。 だけど、知ってしまった。 彼女との。上杉ヒカルとの小さな接点。 別にだからと言って何かある訳じゃない。 好きとか嫌いとか、恋だの愛だのは、漫画の世界だけで十分だ。 言い訳に似た何かをまだ騒がしい胸の奥にしまい込んで、ゆっくりと階段に腰掛けると、項垂れて視線を落としたくすんだ廊下の色がやけに鮮明に見えた。
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