瞬間。恋、目覚めて。

アオイハル

「武田くーん。呼んでるよー」

休み時間もあと少し、というところで不意に教室の入り口付近で俺を呼ぶ声がして、慌てて開いた漫画を伏せて席を立った。

俺を呼んだ女子の側まで歩いて行くと、ドアの外側に見知らぬ女子生徒がいて

……またか。

心の中で溜め息を漏らしつつ、目の前でもじもじと身をくねらせる女の子に微笑み掛けた。

「待たせてごめんね、何の用かな？」

そう言って瞳を合わせれば、大抵の女の子は簡単に瞳をハートマークにする。

「武田君に大事な話があるんだけど、今イイ？」

話の内容なんて聞かなくても分かるけれど

「いいよ」

社交辞令のようにニッコリと彼女に笑顔を向けた。