アオイハル

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「あたし、武田君が好きなんだけど、良かったら付き合ってくれませんか?」 最近。 同じような台詞を何度も聞いてる気がする。 もう何度目だろう。 「……」 そこそこ可愛くて、そこそこ性格の良さそうな、目の前に立つ女の子。 少し恥ずかしげに瞳を伏せるけれど、どうしてか彼女の真剣さは一つも伝わって来なくて。 この子、何組の何て名前? 大した面識もない男子に好きとか。 俺の何を知ってるの? 本当の“武田ハルト”なんて、どうせ何も知らないクセに…… 「あのぅ、武田君?」 心の中を悟られないように、慌てていつもの作り笑いを浮かべた。 「凄く嬉しい。ありがとう」 彼女の顔がパッと明るくなった。 「えっ?じゃあ、あの……」 「でも……ごめんね?勉強に集中したいから、今はカノジョとか考えられないんだ」
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