アオイハル

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「偶然だよ、偶然!」 俺の後を追うように歩き出した村上がヘラリと笑って白々しく言い訳の言葉を重ねる。 「とか言って、この間告白された時も村上、いたじゃん?」 「だって武田っちモテるから。羨ましくてさぁ」 変な押し問答を繰り返しながら、それでも進む足は止まらない。 動いていないと、イヤな感情に飲み込まれそうだった。 「……俺は村上の方が羨ましいよ」 「またまたー、何それ」 「……」 “村上が羨ましい” 不意に口をついて出た言葉の意味なんて、俺はまだ何も理解できていなかった。 「まぁ……でも。さっきのあの子もゲームだろうな」 村上のその一言に思わず足が止まった。 「……ゲームって何?」 思いの外、喰い付いたのが嬉しかったのか、村上は得意気に口を開く。 「武田っち、知らないの?“告白ゲーム”だよ。女子の間で流行ってるみたいだけど。とりあえず好きな奴に告るだけのゲーム」
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