アオイハル

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襲われる虚無感の中、ただひたすらに足を動かして自分の教室へと戻る。 机の上に放ったままの漫画を枕に顔を伏せた。 微睡む陽射しを遮る暗闇。 誰が悪い訳でもない。 誰かを恨む気持ちも、誰かを羨む気持ちもない。 それでも言い様のない脱力感と焦躁感。 交互に心の中に押し寄せるそれらに生かされているような 本当に言葉に出来ない感情。 強く強く瞳を瞑った闇のその先に感じたのは、硬くて分厚い漫画本の感触。 怖い夢を見るのは懲り懲りだから、徐に顔を上げて村上に借りた漫画を捲った。 「……ふっ」 何気に開いたページで目が止まる。 思わず口から漏れた笑みを拭う事もしなかった。
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