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読み終わったばかりの漫画を伏せて、すぐ隣に自分の顔を埋める。
ぼんやりと教室の中を窺うと、女子達は皆数人のグループに分かれて、雑誌やお菓子を片手にきゃいきゃいと話に花を咲かせていて。
あの輪の中に入りたいとか、女子トークが羨ましいとか、そんな事を微塵にも思わない自分が逆に怨めしい。
女子は苦手。
彼女達はあたしの中で未確認生命体に位置していて、どんな話をすれば、何に興味を示せば同調していただけるのか全く分からない。
グロキャラや時代劇の話なら、休み時間と言わず3時間くらいは余裕で話せるんだけどな……
はぁ、っと短い溜め息が勝手に口からこぼれ出るけれど、その意味をあたしは知る由もなかった。
「さて、と。漫画……返さなくちゃ」
休み時間はあと少し。
授業が始まる前に隣の隣のクラスへ行って、漫画を返して新しい漫画を借りる。
何となく、ここ最近の儀式のようになっている事に苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと席を立った。
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