キラキラヒカル

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「ヒカルちゃん、ナイスボケ!」 ボケたつもりはないです。 「誰って、武田ハルト君だよ」 信玄さまじゃなくて? 「うちの中学の中じゃ、向かう所敵ナシだよね」 そんなに喧嘩が強い人なの……? 「うーん」っと難しい顔で考え込んだあたしを見て、皆がどっと笑い出した。 「ヒカルちゃんって、やっぱ変わってる~!あれ程のイケメンに興味ないなんて」 またいつもの台詞を聞いて、慌てて言葉を探した。 ここではみ出していたら、この先“女子”として生きていくのは大変なような気がして。 「きょ、興味ある、あるっ!イケメン武田さま万歳!」 ……多分自分が間違っているんだろう事なんて何処かで気付いていた。 だけど。自分の為に吐いた嘘は誰かを哀しませて、やがて自分に返ってくる。 こんな小さな世界で生きているあたしには、そんな事を考える余裕なんてなかったんだ。 .
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