キラキラヒカル

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―――――――――――――――――――――――――――――――― 「……次の授業って何だっけ~」 「えー?クラブだよ、クラブ。めんどくさーい」 教室の中央で騒ぐ女子たちの話に聞き耳を立てながら、思わず頬が緩むある日の午後。 「ヒカルちゃ~ん、何笑ってんの?」 そんなクラスメイトの声も右から左。 週に一度の楽しみ。 “歴史研究クラブ”のお時間。 「あー、だってヒカルちゃんクラブの時間、特等席だもんね?」 「そーなんだよ!ひっそり勉強するにも、こっそり昼寝するにも最高なんだぁ……」 うっとりするあたしをよそに、クラスメイトの女の子達はきょとんとして顔を見合わせる。 「そういう意味じゃないんだけどね~……つうか私があの席代わって欲しいよ」 「つかアンタ歴史研究とか無理でしょっ」 「でも一度でいいから王子さまの席、共有してみたいじゃん」 あたしの耳には、彼女たちがキャッキャッと楽しんでる風にしか聞こえなくて。 もっとあの時、真剣に彼女たちの話を聞いていたなら。 あたしは大きな間違いを犯さずに済んだのかも知れない。
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