3600秒のセカイ

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―――――――――――――――――――――――――――――――― 青い空。 白い雲。 絵心のない俺でも、画用紙に名画が描けそうな…… そんな天気。 週に一度のクラブ活動の時間。 今更運動系のクラブに入るのも面倒で、当たり障りのない文化系のクラブを選んだ。 当然ながらはりきって出席するような意欲もなくて、クラブの時間は専ら屋上で昼寝と決めていた。 「うはぁぁ……」 村上から借りた漫画を片手に、カッコ悪い溜め息を一つ。 正直、今日に限っては漫画の内容がまるで頭に入らない。 寝返りをうつかのようにコンクリートの上に仰向けになって、真っ青に広がる空を仰いだ。 俺の頭の中を占めるのはあの……落書きのこと。 『戦国武将の中で一番強いの誰?』 次の時間がクラブだと気付いて、つい先程の休み時間に自分の机に思わず綴った言葉。 もちろん、上杉ヒカルが俺の席に座る事を前提に。
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