3600秒のセカイ

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彼女はあの落書きにどう応えるかな? 歴史研究クラブなんてマニアックなクラブに所属するくらいだから、少なからず食い付きそうなネタを投入したつもりなんだけど。 そもそもあの落書きに気付いてくれるのかな? 気付いてくれても放置だったらどうすんの、俺。 色んな妄想を駆り立てながら、深みに堕ちていく自分。 彼女、上杉ヒカルとは、探せば共通点はたくさんあって、ただ一言声を掛ければ何かが変わるんだろう事は解っていたけれど。 もしかしたら親友の村上の事を好きな彼女。 他人から拒絶される怖さを知っている俺には、たったそれっぽっちの勇気もない。 「……下らない」 吐き捨てた空に白い雲が滲んでいた。
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