3600秒のセカイ

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「……あー、いたいた武田っち」 重たい屋上の扉が開いて、校舎の中からひょっこりと村上が顔を出した。 「何か用?」 「やだな~、用がなかったら来ちゃダメな訳?」 「……ダメ」 村上は苦笑いを浮かべながらゆっくりと近付き、俺の隣に腰を下ろした。 「いやぁ、いいお天気だねぇ」 「そう?」 村上の方には目もくれず、読んでもいない漫画をわざとらしく捲った。 「……」 「……」 「村上?やっぱ何か用があって来たんじゃないの?」 いつも結局俺の方から話を振るはめになる。 「…うん……いや。あのさ、武田っちっ!」 歯切れの悪い会話を続ける村上を不審に思い、思わず顔をあげた。 「あの、さ。上原さん、ってどう思う?」 .
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