3600秒のセカイ

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「武田っちはさー……好きな子とか、居ないの?」 ここでする話? 村上はふぅと小さく溜め息を吐いて俺の顔を覗き込んだ。 微妙な間。 沈黙に押し潰されそう。 「……居ないよ」 もう。 自分の本当の気持ちなんて、よく分からなくなっていた。 「そっか……」 村上もそれ以上何も言わなくて、ただただ時間だけが過ぎていく。 「……村上、そんなに上杉さんの事、好きだったんだ?」 徐にそう尋ねると、村上は一瞬不思議そうな顔をした。 「いやー別に」 そう答えた村上に苛立ちを覚えて、文句の一つでも言ってやろうと顔をあげた瞬間、はたと気付いた。 苛立ち? 嫉妬? 誰が? 誰に? 何で……? .
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