3600秒のセカイ

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―――――――――――――――――――――――――――――――― 男二人、何してんだか屋上で空を眺めて他愛のない話をして。 ふと耳を澄ませば終業の鐘の音。 「教室戻ろ」 村上の言葉に相槌を打つ事もなく、怠い身体を起こして屋上を後にした。 「上島さん漫画借りに来るかなー」 「……」 ……だから、上杉さんだってば。 また話を振り出しに戻した村上の後ろを歩きながら、小さく溜め息。 この後、何が待ち受けているかなんてすっかり忘れていた。 「村上って、ほんと適当だね」 「え、何?武田っち、羨ましいの?」 「全然」 クラブの時間が終わってすぐ。 村上と下らない会話を繋ぎながら、自分の教室へと戻る。 廊下の窓から見えた窓際の自分の席にまだ人影が見えて、心臓が激しく収縮した。
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