3600秒のミライ

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本当に他愛のない下らない言葉の羅列。 だけど今まで、こんなに他人の言葉に動かされた事なんてなくて。 あたしは自分の中に芽生え始めた、生まれて初めての感情にまだ気付けずにいた。 たかがクラブ活動。 されどクラブ活動。 たった3600秒のこの時間が一週間の中で一番心地好い。 名前も知らない。 顔も知らない。 そんな相手に対する興味は、一体何なんだろう? 「にんじん……嫌いなんだっ」 後ろの席の男子に気付かれないよう小さく呟いた。 知らない相手の事を一つ知る。 それはあたしのこの狭い世界の中では特別の事のような気がして、何だか胸がいっぱいになる。 いつしかクラブ活動の終わりを告げるチャイムが鳴って。 ……結局今日も集中出来なかった。 それなのに、お腹がいっぱいになった時のような満たされた気持ちで、あたしはこの教室を後にした。 .
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