3600秒のミライ

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―――――――――――――――――――――――――――――――― 「ヒカルちゃん、ナイッシュー!」 クラブ活動と同じくらい、部活は大好き。 いろいろ。 本当にいろいろあるけれど、ただ黙々とボールに触れて、シュートを決めるそれだけで心が軽くなる。 シュートボールがゴールネットを揺らす瞬間、アドレナリンが湧き出て来て何よりの爽快感を受け止めた。 「……やったぁ」 こんな事に幸せを見出だすあたしは他の皆から見たら馬鹿げているかも知れないけれど。 裏切られる事のない心地好さ。 それはきっとあたしの心を落ち着かせていく糧になる。 ゴールを抜けてバウンドしたボールを追いかけて、コートの外へと出た。 目の前に体育館を真っ二つに遮断する天井付近から吊るされた厚いネット。 それは男バスと女バスの境界線。 境界線を抜けるぎりぎりのところでマイボールを拾い、顔をあげた先。 緑色のネットの向こうのゴールポストに、音もなくボールが吸い込まれていくのが見えた。
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