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小さな頃から苦手なモノがあった。
あたしはそれをパパにもママにも教わる事なく大きくなってしまった。
人を許す事は簡単だけれど。
誰かを愛して
誰かに愛される事。
あたしにはその“意味”も、その“必要性”も知らない。
もしかしたらそれはあたしには本当に必要のないものなのかも。
誰にでもなく、そう自分に言い聞かせて。
だけど心の何処かで燻り続ける感情がある事、見て見ないフリをした。
落ち着かない心のまま、手元のボールをゴールへと放つ。
当然ながらボールはゴールポストを掠める事もなく明後日の方向へと飛んでいった。
「あ、あれっ?」
「ヒカルちゃん、面白~いっ」
キャッキャと笑い飛ばす部員達に愛想笑いを返して。
“あたしはこれでいい”
知りたくない、見たくないものに蓋をして
……安堵した。
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