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再びボールを拾って急いでコートに戻ると、コートの中で皆が輪になって話しているのが見えた。
「……ねぇねぇ今、武田君、ヒカルちゃんの事見てたよ~!」
「絶対、間違いないよ~」
真面目に練習してるはずの部員さえ、やっぱりネットの向こうの“武田君”の言動が気になるようで。
だけどその言葉の意味。
あたしは何も分かってはいなかった。
「……ふぅん?そうなの?」
“武田君という男バス部員があたしを見た。”
別にそれはあたしにとって、重大事件ではない。
「え~、ヒカルちゃん!嬉しくないの」
「え、いや、あの……」
別に、嬉しくなんか、ない。
だってあたしは、皆の人気者の武田君という人に興味がない。
「て言うか……ヒカルちゃんて。本当、変だよね……」
その一言は
あたしにとって誉め言葉なのか、貶されているのか。
その時は何も理解することが出来なかった。
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