アオイハル

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正直バスケは得意中の得意で、一年生でレギュラーを取ったのも俺一人。 『負けた』とか『悔しい』なんて思った事もなくて ましてや、うんと小柄な女の子の打つシュートに、こんなに瞳奪われるなんて想像もしていなかった。 彼女は、男の俺が憧れてしまうくらい綺麗なシュートを放っては、無邪気な笑顔を見せる。 時間に追い付くのに必死で、男バスの帰る時間帯にも毎日体育館の灯りがついていること、気にも止めた事なかった。 ……毎日……居残り練習してたのか。 立ち止まる暇なんてない。 “大人”になるまでに残された時間は残り僅か。 時間を追い掛けているのか、追い掛けられているのかも分からないこの世界に 信じられるモノは自分だけ。 ついさっきまで、確かにそう思っていたハズなのに。 ただ夢中でシュート練習を繰り返す彼女から、どうしてか瞳が離せない。 俺の足を止めたのは彼女、ただ一人。 ……上杉ヒカル。 .
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