アオイハル

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……その日から、何となく何となく 部活が終わって帰路に向かう前に、薄明かりの体育館を覗くのがクセになった。 彼女は毎日、女バスの練習が終わった後に一人きりで、マイケルを片手にシュート練習をする。 自主練が終わった後、マイケルをタオルで磨いて その後、ステージで足をブラブラさせながら鞄に忍ばせているらしいパンを食べる。 「メロンパンー♪」 広いステージから響く声。 一体誰に向けて話してるんだか。 僅かに開いた鉄の扉の外で、扉にもたれるように腰掛けたまま。 何となく、何となく。 落ちてくるような夏の夜空の下、彼女の存在を感じていた。 言い訳をするなら、 『上杉ヒカルさんのシュートを見たいから。』 ただ、それだけ。 すく何にでもテキトーな名前を付ける事とか シュートを打つ瞬間、ほんのちょっぴり大人びた表情を見せる事とか とにかくメロンパンが大好きらしい事とか 全部。 体育館の外の、星空の下で知った。
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