第い段 秋扇

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タイトル『易』 (2012年9月11日)  おはよう御座います、ちょっきです。  私は職業柄、教え子と呼べる生徒を沢山抱えています。通算で千人を軽く越え、現在指導中の生徒は勿論のこと、初期の生徒からも結婚式に呼ばれたり、子供の写真が送られてきたりと、それなりに親交があったりします。その度、まあ彼らの人生においての道標程度にはなれたんだなーと胸を撫で下ろしている訳ですが、これは勿論、ほんの僅かであれ成果に満足を頂けたからに他ならない訳でして……。  しかし世の中には、自分の発言に一切の責任を取らなくても良い仕事もあります。それは……占い師です。  彼らは基本、自分の発言に何の責任も持たずに、人の未来に良し悪しを断じることを許されています。それが当たる当たらないかに拘わらず金品が搾取できて、しかも外れてもクレームを言われることが殆どない訳ですから、他の予報士や先生と呼ばれる方と比較しても、なんて楽な商売なんでしょう。  そう、占いの上手く出来ているところは、良い未来と悪い未来、どちらを予想しても、相手にある程度の満足を与えられることです。  良い未来を伝えた場合、その時点で既に相手に満足を与えているので、問題はありません。そしてそれが外れても、自分の不幸の責任を占い師に擦り付けるなんて普通の感覚では出来ないので、結局占い師にクレームは上がりません。  次の頁へ続きます。
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